社人研「結婚と出産全国調査(出生動向基本調査)」
結婚し、家族をつくる意欲低下
未婚男性の8割が交際相手なし
「一生結婚するつもりはない」と考える未婚者は2000年代に入って増加傾向が続いている。
国立社会保障・人口問題研究所の結婚と出産に関する全国調査・独身者調査によると、「いずれ結婚するつもり」と回答した18〜34歳の未婚男性は81・4%、同未婚女性は84・3%と依然高い割合にある。ただ、女性は前回調査(2015年)の89・3%から5ポイントも低下した。
一方、「一生結婚するつもりはない」と考える男性は前回12・0%から17・3%、女性は同8・0%から14・6%に上昇した。
異性との交際状況を尋ねると「恋人又は婚約者がいる」と答えた男性は21・1%と横ばい。女性は27・8%で前回から微減した。さらに「交際を望んでいない」と答えた未婚者は3人に1人に上った。
男女、年齢、生活スタイルの違いを問わず、家族をつくる意欲は引き下がっている。背景には女性の生き方、価値観の変化がある。女性のライフコースの理想像を尋ねると、男女ともに「仕事と子育ての両立」が最多となり、「専業主婦」が減少した。また、結婚相手に求める条件は男女とも「人柄」が最も多いが、男性は女性に「経済力」を求める傾向にあり、逆に女性は「男性の家事・育児の能力や姿勢」「容姿」を重視する割合が増えた。
また結婚意思を持つ未婚者に希望する子供数を尋ねると、全年齢層で減少した。男性は前回1・91人から1・82人、女性は同2・02人から1・79人に大きく低下した。
子供を持つ理由については、「子供がいると生活が楽しく心が豊かになるから」が男女とも最多。一方「結婚して子供を持つことは自然のことだから」は大きく減少している。
未婚者の生活スタイルについては、「いきがいとなる趣味やライフワークを持っている」が男女とも最も多い。「1人の生活は寂しくない」と答える未婚者も増加した。
個人の生活や価値観を大切にする傾向にあり、結婚や子供を持つことは必ずしも必要ではないと考える未婚者が増えている。既婚夫婦の出生子供数も減少しており、日本人の家族形成力は弱まっている。
(2022年12月号 no.385) |